【第13回柴田錬三郎賞受賞作】和平工作が失敗に終わり徴兵された文隆は、満州で終戦を迎え、シベリアに抑留される。<br />日本の家族の元に届く手紙に繰り返し書かれていたのは、不可思議な言葉だった……。<br />帰国と引き換えにソ連のスパイとなることを求められた文隆が、最後に希望を託そうとした「夢顔さん」とは一体誰なのか? 激動の時代を生き、高貴なる一族の長男として、そして日本人としての誇りを守り続けた文隆の運命は――。<br />