貸本屋<ゆうづき>で働くなつは、実は由緒ある武家の生まれ。<br />恋ゆえに出奔した兄を捜すため、単身江戸へ上ったのだ。<br />手がかりは兄の恋人が版画職人を目指しているということだけ。<br />版画本の作者を調べては、めぼしい人々を訪ねる日々だ。<br />ある日、本に興味のない植木屋の小六が歌集を借りていく。<br />恋歌がうまく作れないという彼に、なりゆきで協力することになるが…?