関東大震災からの復興の兆しを見せる昭和五年、東京。<br />歌舞伎の殿堂木挽座に‘掌中の珠を砕く’という脅迫状が届く。<br />皆が疑心暗鬼にかられるなか『忠臣蔵』に出演中の花形役者が毒殺される。<br />江戸の狂言作者の末裔桜木は、築地署の笹岡と真相究明に乗り出す。<br />容疑者は、役者、裏方、観客すべて。<br />だが、嘘をつくのが商売の役者を相手に捜査は難航……。<br />変革の時代を背景に描く歌舞伎バックステージミステリー。<br />