終戦の年に生まれた‘わたし’は九段の花街で育った。<br />家は置屋から芸者を呼ぶ料亭「八重」。<br />母も評判の芸者で、客として訪れた父は母と知り合い、わたしが生まれた。<br />踊りや唄の練習に励み、幼くして芸者になることを夢見たわたしは、小学二年生のときに置屋「鶴ノ家」の子、哲治と出会う。<br />それは不可思議な運命の糸が織り成す長い物語のはじまりだった。<br />数奇な人生と燃え上がる情熱を描く長編。<br />