【第二十四回伊藤整文学賞受賞作】妻の失踪を皮切りに、緒方の人生は転落の一途を辿った。<br />失職、路上生活、強盗致死。<br />そして二〇〇八年六月八日午前九時、緒方は五年の刑期を終え滋賀刑務所を出所する。<br />自らの人生の意味を問い直すかのように大阪の街を彷徨い、やがて和歌山のとある村へと流れついた緒方。<br />流浪の旅の末、彼が目にしたのは地獄か、それとも極楽か。<br />