貧富を問わず患者の看病にあたる鎮水のもとで医師修業を積む庄十郎。<br />一方で兄の甚八は大庄屋を継いでいた。<br />あの一揆騒動から二十六年、身を挺して増税を撤回した稲次家老は病に倒れた。<br />度重なる不作、飢饉、人別銀。<br />再び百姓に困難が降りかかるとき、怒りの矛先は甚八のいる大庄屋へ向けられた。<br />時代のうねりの中で懸命に慈愛の心を貫こうとする青年医師の目を通して市井の人々を見た歴史大作。<br />