大切な人の突然の死。<br />魂だけでもいつも傍にいて欲しいと願う気持ちが、見えない何かを引き寄せるのかもしれない。<br />二十年前、男友達が自死した。<br />彼の想いを素直に受け入れられなかった若い自分。<br />そして今、恋愛に失敗し、仕事にも行き詰まった私は、様々な思いを抱え彼が最後に泊まった岬のペンションを訪れる――(「岬へ」)。<br />生と死のあわいに漂う不確かな存在を、妖しく描き出す幻想怪奇小説集。<br />