女に学問はいらないという風潮が残る明治初期、医学の道を志した女性がいた。<br />日本最初の女医・荻野吟子である。<br />夫に膿淋をうつされた屈辱と痛みから、同じ悩みをもつ女性を救うべく、かたくなな偏見と障害を乗り越え、医師の資格を取得し、医院を開業。<br />やがて、婦人問題に取り組む社会活動にも参加していく。<br />数奇な運命に満ちた愛と苦悩の生涯を医師出身の著者が、情熱と共感をもって描く評伝小説。<br />