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光点

【第41回すばる文学賞受賞作品】汚れた手で彼に触った、どうしたいのかもわからないまま。
工場しかない閉じられた町で暮らす実以子。
中学を卒業して以来、手帳に職場の弁当工場にいく時間を記すだけの日々。
自宅では母親が実以子の持ち帰るにおいに顔をしかめて、娘を追いつめる。
「結局あんたみたいなのが、人に迷惑かけても顔色変えずに生きられるのよね」(本文より)。
ある日実以子は「八つ山」と呼ばれる裏山で、カムトと名乗る青年と出会う。
二人は共に時間を過ごすようになり、それは行き場のない者どうしのささやかな交流であったはずが……。
母のいらだち、父の無関心、遠ざけられた現実――。
不穏な日常をふりきり、二人が求めた光点とは。




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