「かがわまほせんせいのえがだいすきです。<br />ぼくのことをすきになってくださいね」佑樹は五歳の時、大好きだった絵本の作者に手紙を書き、彼女から来た返信を今もまだ大切にとっていた。<br />父のいない子として生まれた佑樹は、不思議な懐の深さを持つ魅力的な少年に成長していた。<br />人を想い慈しむ気持ちが、絡まった過去の秘密をゆっくりと溶かす。<br />命と命の邂逅へと繋がる、美しい運命の糸の物語。<br />