30歳を前に商社を辞めて転職した。<br />やくざまがいの探偵稼業。<br />それまでの自分は投げだした。<br />なぜこんなことを始めたかも、考えないようにしていた。<br />そして、汚れた都会の罅の間から聞こえてくる人々の呻きに耳を傾け、その声を胸底に深く沈めてきた。<br />女に言われた。<br />街に詩を書いている。<br />人の心が綴る詩を書いている。<br />哀切で情感あふれる北方ハードボイルドの名編。<br />