初夏を迎えた京都、下鴨。<br />糺の森で、若いころ求婚の返事が聞けないまま婚約者を亡くした、と語る老人に出会った幸。<br />(鶯の落し文)「香水瓶を返して」という女性が訪ねてきた日から、身辺に彼女の幻影を見るようになった春野。<br />彼女の正体は……。<br />(青時雨の客人)ほか、全六編収録。<br />時代を超えて受け継がれる、古い物たち。<br />そこに宿る想いを見届ける、シリーズ最終巻。<br /> 【目次】鶯の落し文/青時雨の客人/額の花/白帝の匂い袋/一陽来復/山吹の面影