バーバーの肖像
【第8回小説すばる新人賞受賞作】父親がいない複雑な家庭に育った主人公・衿子。
結婚を目前にして、衿子は自らの過去に向かい合うことになる。
遠い記憶をさかのぼれば、いつも頭に浮かんでくるのは「バーバー」のことだった……。
幼い頃、母と姉と一緒に日曜日ごとに通っていた鎌倉の古い家。
そこに一人で住んでいた「バーバー」と呼ばれる謎の老人。
おしゃれで、どこかの国の王様のように優雅で、とびっきり上等で、いつも幼い自分を気にかけて守ってくれた温かくて優しいバーバー。
あの人は一体、何者だったのだろうか? 母の恋人? 私の父親? それとも? しかし、そんな慈しみに満ちた平穏な日々を断ち切る事件が起きる。
別れを告げてきた少女期の夢のかけらたちへのレクイエム。
いびつでありながらも純粋な家族の形を描く、遠い日の愛と癒しの物語。
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