わるもん
【第42回すばる文学賞受賞作】――純子ちゃんもあるやろ、お父さんに有罪だしたこと。
硝子職人の父はいつの間にか「箕島家」から取り除かれてしまった。
工場(こうば)で汗を流して働く以外は縁側から動かず、家族を見なかった父はどこへ行ったのだろう。
笑顔が増えた母、家には寄り付かない姉の鏡子と祐子。
ときどき現れる「ミシマ」さんという男性。
純子だけが母の視線を受けながらずっと家にいる。
大好きなレーズン、日課の身長測定、ビーカーで飲む麦茶、変わらない毎日の中、あるときから純子は父の「コンセキ」を辿り始める。
日本のどこかで営まれる家族の愉快でちょっと歪んだ物語。
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