21歳の僕は「物語」の中を生きていた。<br />同じ大学に通う恋人の香澄、彼女と同郷の先輩、プラネタリウム、そして失われた文庫本。<br />手の中に果実はない。<br />未来など見えない。<br />見えるはずがない。<br />しかし、何かを知っている人は何かを知らない人に伝えなければいけないのだ。<br />不在を抱えて生きる若者の、追憶と哀しみを描く。<br />