「全てに絶望してしまわないために、たった一つでいい、手つかずのまま残しておきたいことがある。<br />そこに希望を託していたいと私まで思うようになったのは、いつの頃からだろう。<br />」雑誌やチラシから文字を切り抜き続ける文彦と生活をともにする数子。<br />いまある日常から抜け出す術もなく、静かに絶望が忍び寄ってくる。<br />あらゆるものが廃れていくこの街で明るい未来はどこにあるのだろう。<br />不器用に生きる二人にとっての希望とは――。<br />