春、睦月。<br />晴明は先年の秋より、天文道を修める学生となり、慌ただしい陰陽寮に日々詰めている。<br />その理由はただ一つ――平安京呪詛対策である。<br />だが晴明は、京を呪うその元凶が御霊天神・菅原道真ではなく、雷神を操る死霊の気を身に絡ませた「少女」であることを知っている。<br />しかしその行方が知れない。<br />そんなある日、二道博士――晴明の師・賀茂保憲が一月ぶりに出仕してきたのだった。<br />