藪医者のせがれと後ろ指をさされてきた由太郎は、自分自身から逃れるように長屋暮らしをしている。<br />自ら命を絶った妹、梓のことも常に心に翳を落としていた。<br />風変わりな錠前屋、次嶺に出会うまでは。<br />つかみどころのない、この男と過ごすうち、人と人ならざる者、あの世とこの世が交錯する江戸で固く閉ざしていたはずの由太郎の心に変化が!? 導きの幻想江戸奇譚…!【目次】ツギネ江戸奇譚/東両国の猫と蠅/標の花