寿永二年(1183)源頼朝の娘・大姫は十四歳の春をむかえた。<br />突然父から「姫の婿が決まったぞ。<br />木曽の嫡男・義高だ」と言われて、びっくり。<br />その押しつけに怒って由比ヶ浜に抜け出し、大好きな海を見てた時――。<br />「俺、海を見るのって、初めてだよ」。<br />直垂姿の少年が瞳を海いろに染めて沖を見つめていた。<br />――それが義高。<br />ふたりの恋の始まりだった。<br />悲しい恋の、始まりだった……。<br />※イラストは収録されていません。<br />