灯台からの響き
板橋の商店街で父の代から続く中華そば店を営む康平は、一緒に店を切り盛りしてきた妻を急病で失って長い間休業していた。
ある日、分厚い本の間から妻宛ての古いはがきを見つける。
30年前の日付が記されたはがきには、海辺の地図らしい線画と数行の文章が添えられていた。
差出人は大学生の小坂真砂雄。
記憶をたどるうちに、当時30歳だった妻が「見知らぬ人からはがきが届いた」と言っていたことを思い出す。
なぜ妻はこれを大事にとっていたのか、そしてなぜ康平の蔵書に挟んでおいたのか。
妻の知られざる過去を探して、康平は旅に出る――。
市井の人々の姿を通じて、人生の尊さを伝える傑作長編。
更新中です。しばらくお待ちください。