まだ古き世の名残が尾を引く開明の時代、明治45年。<br />横濱。<br />女学生の紅の父親が持つ長屋には、いつの頃からか、ひょろりと痩せた京訛りの青年絵師が住みついていた。<br />紅が幼い頃から長屋に暮らす時川草介というその青年は、幼い頃に神隠しにあったことがあり、そのせいか怪異を見ることができるという。<br />あるとき、紅の許嫁だった好青年・一谷誠一郎が行方不明となり、草介に助力を求めたが……?