二度も手首を切った父、我が子の誕生日に家を出て行った母。<br />小学生のせれなは、独り、あまりに過酷な現実を生きている。<br />寄る辺ない絶望のなか、忘れもしない1993年9月2日未明、彼女の人生に舞い降りたのは、伝説のロックスター・リアン。<br />その美しい人は、せれなの生きる理由のすべてとなって……。<br />一人の少女による自らの救済を描く、圧巻のデビュー作。<br />第44回すばる文学賞受賞作にして第164回芥川賞候補作。<br />