江戸・湯島で縁切り状の代書をする「縁切り屋」を営んでいるお糸。<br />人の別れがもたらすのは悲しみだけではないとわかり始めたが、稼業への違和感は未だ消えずにいた。<br />絵の師匠と弟子、横暴な口入れ屋と若い衆、姑寄りの夫とその妻、自刃ばかりする娘と振り回される友、なさぬ仲の男女など様々な別離に心は乱れて――。<br />幼なじみや糸に思いを寄せる者も登場し、ますます目が離せない青春時代小説。<br />