赤穂藩京屋敷留守居役の小野寺十内と妻お丹に仕えるろく。<br />親を知らず耳が聞こえぬ彼女だが、出会いに恵まれ仕合わせな日々を過ごしている。<br />しかしろくが二十歳になった年、藩主浅野内匠頭の江戸城松の廊下での刃傷という一大事が出来する。<br />忠義を貫き命を散らすのが武士の一分ならば遺された者の一分とは……。<br />滋味溢れる筆致で赤穂事件の顛末と家中の人々の覚悟を描く第9回中山義秀文学賞受賞作。<br />