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愛じゃないならこれは何

斜線堂有紀のはじめての恋愛小説集。
/『きみの長靴でいいです』天才ファッションデザイナー・灰羽妃楽姫は、二八歳の誕生日プレゼントに、ガラスの靴を受け取った。
送り主は、十年来の妃楽姫のビジネスパートナー、そして妃楽姫がいつか結婚すると信じている男、妻川。
人生の頂点に到達しようとしている妃楽姫だったが、しかし次の瞬間彼女が聞いたのは、妃楽姫以外の女との、妻川の結婚報告だった。
/『愛について語るときに我々の騙ること』「俺さ、ずっと前から新太のことが好きだったんだ。
だから、付き合ってくれない?」そういう男――園生が告白しているのは、私――鹿衣鳴花に対してだった。
私たちの関係は、どこに向かおうとしているのか。
男と男と女のあいだに、友情と恋愛以外の感情が芽生えることはあるのだろうか。
/『健康で文化的な最低限度の恋愛』美空木絆菜は死にかけていた。
会社の新入社員、アクティブな好青年、津籠の気を引きたかった絆菜は、彼の趣味――映画にもサッカーにも、生活を犠牲にして一生懸命頑張って話を合わせた。
そして今、絆菜は孤独に山の中で死ぬかもしれない。
どうしてこんなことに。
/『ミニカーだって一生推してろ』二十八歳の地下アイドル、赤羽瑠璃は、その日、男の部屋のベランダから飛び降りた。
男といっても瑠璃と別に付き合っているわけではない、瑠璃のファンの一人で、彼女が熱心にストーカーしているのだ。
侵入した男の部屋からどうして瑠璃が飛び降りたのか、話は四年前にさかのぼる――。
/『ささやかだけど、役に立つけど』初めて高校の放送部の部室で鳴花と出会った時に、自分はいつか彼女と付き合うんじゃないかと、園生は思った。
しかしそれから十年経って、彼女と自分の関係に、新太が加わった。
二人よりも三人のほうが、ずっと安定している。
自分たちは、このまま死ぬまで三人なのだろう――でも、それでいいのだろうか。




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