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ミシンと金魚

【第45回すばる文学賞受賞作】認知症を患うカケイは、「みっちゃん」たちから介護を受けて暮らしてきた。
ある時、病院の帰りに「今までの人生をふり返って、しあわせでしたか?」と、みっちゃんの一人から尋ねられ、カケイは来し方を語り始める。
父から殴られ続け、カケイを産んですぐに死んだ母。
お女郎だった継母からは毎日毎日薪で殴られた。
兄の勧めで所帯を持つも、息子の健一郎が生まれてすぐに亭主は蒸発。
カケイと健一郎、亭主の連れ子だったみのるは置き去りに。
やがて、生活のために必死にミシンを踏み続けるカケイの腹が、だんだん膨らみだす。
そして、ある夜明け。
カケイは便所で女の赤ん坊を産み落とす。
その子、みっちゃんと過ごす日々は、しあわせそのものだった。
それなのに――。
暴力と愛情、幸福と絶望、諦念と悔悟……絡まりあう記憶の中から語られる、凄絶な「女の一生」。




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