首屋敷と呼ばれる空家の地下室にたたずむ、不気味に着飾られた人体模型。<br />忍び込んだ少年がその胸元に耳を押し当て聞いた幻妖と畏怖の12の物語。<br />妻の胎内に悪魔が宿っていると言われた夫は……(「邪眼」)。<br />鋭敏な嗅覚を持つ女性を襲う異臭(「はなびえ」)。<br />盗聴が趣味の男が壁ごしに聞いた優しい女の声の正体は…(「耳飢え」)。<br />人面瘡評論家の私を訪ねてきた男のおぞましい秘密(「膝」)。<br />眼、鼻、腕、脚、乳房、性器。<br />愛しい身体が恐怖の器官に変わる甘美と戦慄――稀代の才能が紡ぐホラー小説の極致!