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句集 秋灯

「日本で初めて俳句という語を用いた、「ホトトギス」の主宰者、正岡子規は主観を省略したスケッチ、つまり写生の用法を生み出した。
主観は読者がそれぞれに感じとって欲しいということだろう。
その流れを汲む飯島俊子の句集もしかりである。
飯島俊子の俳句は、事実を自分の目で見、耳で聴き、肌で感じ、生きていく上での中で体感し、その中で生まれたのである。
部屋に閉じこもり、机に向かい、頭の中だけで作りあげた作品ではこうはいかない。
日本は世界の数多くある言語の中でも、特に美しい言葉を持っていると言われている。
例えば四季がはっきりしている日本の季節、「秋」を表現するにしても、露・白露・露結ぶ・釣瓶落し・白秋・花野・山粧う・小春日和など数えきれない程の表現方法がある。
つまり同じ秋でもいち日ごと、また朝夕によって表現が変化するのである。
それを十七文字で表現するにはなまじの語彙力では不可能である。
それを見事に生かしているのがこの『秋灯』である。
そこには現代人が忘れている、日本の美が、心が我々の琴線に触れて来るのである。
」(吉田 司氏 『秋灯に寄せて』より)




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