紀州・熊野の貧しい路地に、兄や姉とは父が異なる私生児として生まれた土方の秋幸。<br />悪行の噂絶えぬ父・龍造への憎悪とも憧憬ともつかぬ激情が、閉ざされた土地の血の呪縛の中で煮えたぎる。<br />愛と痛みが暴力的に交錯し、圧倒的感動をもたらす戦慄のサーガ。<br />戦後文学史における最重要長編「枯木灘」に、番外編「覇王の七日」を併録。<br />