常陸の国はらどまりの浜に流れついたガラス張りの〈うつろ舟〉。<br />そのなかには、金髪碧眼の若い女人が、一個の筥とともに閉じ込められていた。<br />そして繰りひろげられる少年との夢幻的な交歓―古典に題材をとりながらもそれを自由自在に組み換え、さらに美しくも妖しい一つの〈球体幻想〉として結晶させた表題作のほか、珠玉の八編。<br />澁澤龍彦、晩年の代表作。<br />