暗闇から抜け出ようとするその列車のように、私もまた暗い二十歳から抜け出ようとしていた。<br />北海道の炭鉱町から東京に集団就職した私。<br />だが工場の同僚との諍いで、職を失ってしまう。<br />やがて私は石川啄木の足跡をたどり、ふるさとへ向かう―1976年度文藝賞受賞の文学史に輝く伝説的名作。<br />