少女ABCDEFGHIJKLMN
いま、最果タヒにより、文字が、言葉が、物語が躍り出す。
「好き、それだけがすべてです」――最果タヒがすべての少女に贈る、本当に本当の「生」の物語![収録作・冒頭]○姉は、愛に満ちている。
やわらかなまつ毛に包まれた頑なな瞳、太陽を頬張ったような頬ももう見えないほどに、愛に埋もれている。
(「きみは透明性」)○きみがご存じなくったって、きみを殺せば、私はきみを身ごもるんだ。
可愛く育ててあげる。
そうしていつか、きみが私に殺された日のこと、思い出してくれたなら、殺してくれたっていい。
きみの恋人になりたいと思ったぐらいに、きみの子供になってみたいと、思った日もあるよ。
(「わたしたちは永遠の裸」)○「きみは自分のことを生き物って思っているかもしれないけれど、ぼくらが保護したい、いのちとは別物で、(きみが思っているよりずっと)たいしたことないからね」(「宇宙以前」)○愛は、薬品によって生成されるものと学びました。
モルヒネに似た麻薬成分を調合して、わたしたちの脳に快楽と麻痺をあたえるその薬品は、無垢なわたしたちに青色の水として認識されていた。
(「きみ、孤独は孤独は孤独」)
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