武田信玄は死に際し、自らの亡き殻とともに財宝を諏訪湖に沈めるよう命じた。<br />その石棺の隠し場所を示す五巻の巻物をもって逃げる三人の落武者は、徳川方に討たれる。<br />その巻物をめぐって武田の郷士・高市児次郎は、師僧・閑雪、猟師の子・伝太とともに三つ巴の争奪戦にまき込まれる―。<br />人間の一生は修行だとする周五郎の信念に貫かれた伝奇時代長篇。<br />