改良
女になりたいのではない、「私」でありたいゆるやかな絶望を生きる男が唯一求めたのは、美しくなることだった選考委員・磯崎憲一郎、斎藤美奈子、村田沙耶香、困惑、そして驚愕。
物議を醸すニヒリズムの極北、28歳の新たなる才能。
第56回文藝賞受賞作。
メイクやコーディネイト、女性らしい仕草の研究……。
美しくなるために日々努力する大学生の私は、コールセンターのバイトで稼いだ金を、美容とデリヘルに費やしていた。
やがて私は他人に自分の女装した姿を見て欲しいと思うようになる。
美しさを他人に認められたい――唯一抱いたその望みが、性をめぐる理不尽な暴力とともに、絶望の頂へと私を導いてゆく。
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