よく晴れた冬の日、わたしは父を施設へ入居させることを決めた。<br />厳格な祖母が仕切る家で、母の出奔後もひっそりと生きたかつての父。<br />そして今、自分の人生を選び取ることで夫とすれ違いを深めていくわたし。<br />生きるということは、二人の男を棄てることなのだろうか…。<br />手探りで生きる人々の人生に寄り添い描いた作品集。<br />短篇「夜と粥」を増補。<br />