猫路
「助けをよぶ猫の声がわかる」と語る美貌の人妻の秘められた過去とは? 麹町、富士見町、飯田町……承久年間、地下九尺の深さに張りめぐらされた木製の上水路は、いまや地下げ屋が暗躍する古書店街。
その一画にある「文雅洞」にアルバイトとして勤める大学生・柏木圭太も、いつしか黒い渦に巻き込まれてゆく。
そして、行く先々で出会う獣の感触は、いったい何か? 愛猫家自認の著者が、江戸時代の資料を材に描く、現代の‘化け猫’物語。
●田中文雄(たなか・ふみお)1941年東京生まれ。
早稲田大学卒業後、東宝入社。
70年代を中心にプロデューサーとして映画製作に携わる。
1974年に『夏の旅人』で早川書房SF三大コンテスト佳作入選。
1975年に『さすらい』で幻影城新人賞佳作入選。
1986年東宝を退社して作家専業となり、ミステリー、ホラー、SFバイオレンスなどに健筆をふるう。
草薙圭一郎名義では時代小説、架空戦記も発表している。
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