埋葬人形ウシャブティ
現代によみがえる古代エジプトの呪い! ホラーファンタジーの力作 秋の学園祭をひかえ、県立滝上高校演劇部の稽古は大詰めを迎えていた。
だが、主役をつとめる朝生良平の心は重かった。
相手役の女生徒、相原夏紀に近づこうとする不良番長の牛久保が、良平を脅して役を降ろそうとするのだ。
さらに、夏紀への報われぬ想いが、良平の心に翳りを落としていた。
牛久保に殴られ、みじめな思いをかみしめる良平が、大石魂神社の境内で死の誘惑に囚われた時、怪異は起こった。
摩滅した古い狛犬から聞こえる声が、良平の心にある「憎悪」をひき受けようと申し出たのだ。
声の主は、古代エジプトの残虐な神官・ラモキスの埋葬人形、ウシャブティだった。
茫然とする良平を残して声が消えた翌日から、良平の周囲に異変が生じ始めた。
やがて魔の手は夏紀にも及び、ついに惨劇の幕は開いた…。
●田中文雄(たなか・ふみお)1941年東京生まれ。
早稲田大学卒業後、東宝入社。
70年代を中心にプロデューサーとして映画製作に携わる。
1974年に『夏の旅人』で早川書房SF三大コンテスト佳作入選。
1975年に『さすらい』で幻影城新人賞佳作入選。
1986年東宝を退社して作家専業となり、ミステリー、ホラー、SFバイオレンスなどに健筆をふるう。
草薙圭一郎名義では時代小説、架空戦記も発表している。
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