神田村
近代化の波から取り残された問屋街……忍び寄る家業の危機、崩れゆく同族意識 東京神田の雑貨問屋。
もともと個人経営の小さな商店だったのが、今では株式会社で、土屋正志はそこの専務である。
しかし内実は、同族が寄り集まって、どうせ立身の見込みはないと無気力な社員たちを使って、その日暮らしの商売を続けているに過ぎない。
どうすれば会社に活力が戻るのか。
正志の悪戦苦闘は続く…。
時代の波に洗われる会社の経営、血の絆に翻弄される男の熱い想いを描く。
第83回芥川賞候補となった長篇小説。
●吉川良(よしかわ・まこと)1937年、東京生まれ。
芝高等学校卒、駒澤大学仏教学部中退。
1978年『自分の戦場』で第2回すばる文学賞受賞。
1979年『八月の光を受けよ』で芥川賞候補、『その涙ながらの日』で二度目の候補、1980年『神田村』で三度候補となった。
1999年JRA馬事文化賞、ミズノスポーツライター賞優秀賞受賞。
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