死の谷の子供たち
死んだはずの息子がそこにいる! その子供は天使か悪魔か…「似ている、似過ぎている…」その少年を見た瞬間、津坂洋一は衝撃に立ち竦んだ。
横浜山手の閑静な高級住宅街。
夏の終わりの光のなか、遊び戯れる子供の姿は、二年前海で遭難したまま行方不明になった息子にそっくりだった。
妻のまさ江は息子の死を認めず、半ば狂いながら病床にある。
死の前に、もう一度息子に会わせてやりたい…。
津坂は旧友の南にそそのかされ、少年の誘拐を試みた。
だが、少年に害意を抱いた南は不可解な死を遂げ、津坂の周囲にも次々と異常な出来事が…。
日常に潜む恐怖と狂気を抉る異色のホラー・サスペンス。
●田中文雄(たなか・ふみお)1941年東京生まれ。
早稲田大学卒業後、東宝入社。
70年代を中心にプロデューサーとして映画製作に携わる。
1974年に『夏の旅人』で早川書房SF三大コンテスト佳作入選。
1975年に『さすらい』で幻影城新人賞佳作入選。
1986年東宝を退社して作家専業となり、ミステリー、ホラー、SFバイオレンスなどに健筆をふるう。
草薙圭一郎名義では時代小説、架空戦記も発表している。
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