虚妄の残影
密室トリックの謎は過去に迷宮入りした殺人事件とどうつながるのか? 三津田建業創立20周年祝賀会で、社長三津田良造は創業時の秘話を披露したのち、死体となって発見された。
部屋は密室状態、死因は毒薬による中毒死であった。
捜査が進展するにつれ、三津田の暗い過去とともにその秘話の裏側が明らかにされる。
戦時中に行方不明となった山下財宝、クレーン会社専務殺人事件、警備員殺害事件……みえざる糸がたぐられ、複雑にからみあって事件の核心が‘密室’へと収斂してゆく。
第15回江戸川乱歩賞最終候補となったとなった本格長編ミステリ作品。
●大谷羊太郎(おおたに・ようたろう)1931年、東大阪市に生まれる。
慶応大学文学部国文学科中退。
大学在学中にプロミュージシャンとしてデビュー。
芸能界で過ごした後、1970年に『殺意の演奏』で第16回江戸川乱歩賞を受賞。
翌年より推理作家専業。
トリック中心の推理小説を120冊以上発表。
近年は時代小説でも多くの著書を発表している。
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