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死霊の町

極端に出生率が低下した近未来社会……この世界でしかあり得ない‘殺人動機’とは? 中性子爆弾による〈大被爆〉から三十年。
人口は激減し、文明社会は崩壊。
放射能の影響で人類の生殖能力が低下したこの世界では、子供は貴重な存在となっており、グループ婚が一般的になっていた。
妻と腹の子を殺され、自ら事件の捜査にあたる刑事・江藤の前に、かつて乳呑み児だった自分と母親を捨てた父が突然現れた。
当惑は次第に父への疑惑に変わる。
二十数年前、父と母との間に何があったのか? 手がかりを求め、江藤は廃墟と化した東京の高層ビル街をさまよう…。
異色のSFサスペンス長篇。
●藤本泉(ふじもと・せん)1923年、東京生まれ。
日本大学国文科卒業。
1966年に「媼繁盛記」で第6回小説現代新人賞を受賞し文壇にデビュー。
部落問題を扱った第17回江戸川乱歩賞最終候補「藤太夫谷の毒」(のちに『地図にない谷』と改題して刊行)、第75回直木賞候補『呪いの聖域』、第30回日本推理作家協会賞長編賞候補『ガラスの迷路』など話題作を立て続けに発表したのち、1977年に『時をきざむ潮』で第23回江戸川乱歩賞を受賞。
その他、伝奇ミステリ「えぞ共和国」シリーズなど著書多数。
1989年2月、旅行先のフランスから子息に手紙を出したのを最後に消息を絶ち、行方不明のまま現在に至っている。




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