血ぬられた光源氏
伯父の女性遍歴はただならない、ましてや彼女たちのほとんどが不審死を遂げている『源氏物語』研究の権威者である大学教授・洞院一史が起こした交通事故。
彼は一命を取り留めたが、同乗していた若く美しい教授夫人はこの世を去った…。
洞院家に居候している姪の京子は、事故に疑問を抱き、恋人の黒鍬文夫とともに伯父の過去を探っていく。
やがて暴き出されたものは、醜悪な女出入りだった。
本妻を三度も事故で失い、また数々の女たちが疑惑につつまれて死んでいた。
光源氏を地で生きた、世にもまれな殺人鬼に挑む京子だが…。
●藤本泉(ふじもと・せん)1923年、東京生まれ。
日本大学国文科卒業。
1966年に「媼繁盛記」で第6回小説現代新人賞を受賞し文壇にデビュー。
部落問題を扱った第17回江戸川乱歩賞最終候補「藤太夫谷の毒」(のちに『地図にない谷』と改題して刊行)、第75回直木賞候補『呪いの聖域』、第30回日本推理作家協会賞長編賞候補『ガラスの迷路』など話題作を立て続けに発表したのち、1977年に『時をきざむ潮』で第23回江戸川乱歩賞を受賞。
その他、伝奇ミステリ「えぞ共和国」シリーズなど著書多数。
1989年2月、旅行先のフランスから子息に手紙を出したのを最後に消息を絶ち、行方不明のまま現在に至っている。
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