環蛇銭
ボロアパートの窓に寄りついて、老人は木枯らしに似た声を放った。
「オサム、修。
開けてくれ」バカな。
裕一であるはずはない。
親友だったあいつは、ひと月前に死んだはずだ。
しかし、俺は老人の言に従い、裕一の研究日誌を探し当ててしまう。
そして、古銭に触れてしまった。
呪われた古銭に。
次に魂を蝕まれるのは俺なのか…。
八百比丘尼(やおびくに)伝説の迷路に迷い込む青年が得た、恐るべき真実とは…? 長篇ホラーサスペンス。
●加門七海(かもん・ななみ)東京都生まれ。
オカルト・風水・民俗学などに造詣が深く、怪談、エッセイ、フィールドワーク作品などを著す。
最新刊は『お咒い日和 その解説と実際』(KADOKAWA)。
小説に『目嚢』『祝山』『鳥辺野にて』など、エッセイ『猫怪々』『霊能動物館』『墨東地霊散歩』など多数。
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