火の鳥0528
新薬・通称《火の鳥》を服用すると、60歳前後で老化の進行がほぼストップし、ガンから認知症まで、あらゆる疾病が治癒する。
この画期的な薬の出現以降、人々の価値観、人生観は徐々に変化しつつあった。
生きるも死ぬも自由選択の時代に入り、かつて人生最大の悲劇だった「死」は、しだいに悪役の座を降りつつあった。
また同時に、世界経済は混乱を来し、人口爆発と、それに伴う食糧危機を危惧する声が、国際社会で日増しに高まっていた。
天才的な頭脳を持つジョン・グッドスピードは悩んでいた。
愛する人が死に向かう時、《火の鳥》を飲ませて命を救えばよいのだろうか。
果たしてその行為は正しいのだろうか。
生きるとは何なのか。
死ぬとは何なのか。
そして人生の意味とは……。
永遠の命を手に入れた人類と変容する社会を描く。
電子オリジナルの長編SF小説。
●鈴木剛介(すずき・ごうすけ)1969年、東京都生まれ。
上智大学文学部哲学科卒。
外資系広告代理店、築地魚河岸、特別養護老人ホーム介護員、カナダの乗馬クラブの馬糞掃除人などを経て、専業作家に。
著書に、『THE ANSWER』『自殺同盟軍』『真理男』(角川書店)、『デブになってしまった男の話』(求龍堂)、『人はなぜ生きるのか、答えよ!』(河出書房新社)、『涙の天使にさよならを』(アドレナライズ)など。
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