検査室
ふと、脇腹に痛みを感じた。
おかしな姿勢でうたた寝をして、特殊な筋肉を使ったのか、鈍痛がある。
やはりまぶしさを感じた瞬間に意識を戻したのだと、「気づいた」。
いや「思った」。
「気づいた」のだろうか「思った」のだろうか? ふっと、その少し前にも痛みを感じていたと「思った」。
どういう自分なりの必然からか、それは次第に確信に近づいた。
(「†」より) 調書、私信、寓話など実験的な手法で書かれた短編・掌編を収録。
電子オリジナル作品集。
*カミラ蜂との七十三日*王様はどのようにして不幸になっていったのか?*今年の夏は雨の日が多くて*私の中の東京、東京の中の私*(失踪中の王妃からの手紙)*†*ショールーム●石黒達昌(いしぐろ・たつあき)作家、医師。
1961年北海道生まれ。
東京大学医学部卒業。
「最終上映」で第8回海燕新人文学賞を受賞してデビュー。
純文学誌を中心に数多くの中短篇を発表する。
「平成3年5月2日,後天性免疫不全症候群にて急逝された明寺伸彦博士,並びに,」「真夜中の方へ」「目を閉じるまでの短かい間」で三度の芥川龍之介賞候補になる。
また、「人喰い病」「希望ホヤ」で星雲賞日本短篇部門参考候補になるなど、SFファンからの支持も厚い。
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