汝らその総ての悪を
その時が来た。
儀式の夜、浚は暗闇の中にいた。
押入れの上段で息を詰め、ナナとキリストを待っていた。
おはなしをすると、ナナはとても喜んでくれた。
殺していいのね、なんにも悪いことしてないよね、と瞳を輝かせた。
夏のナナの目だった……。
倒錯したセックスと殺人を繰り返す若い男女。
彼らは美しくグロテスクで狂ったこの世界から逃れられるのか。
原稿用紙1008枚を超える純愛ノワール大作。
●倉阪鬼一郎(くらさか・きいちろう)1960年、三重県伊賀市生まれ。
早稲田大学第一文学部文芸専修卒。
同大学院文学研究科日本文学専攻博士課程前期中退。
在学中に幻想文学会に参加、1987年に短篇集『地底の鰐、天上の蛇』でデビュー。
印刷会社、校閲プロダクション勤務を経て、1998年より専業作家。
第3回世界バカミス☆アワード(2010年)、第4回攝津幸彦記念賞優秀賞(2018年)。
ホラー、ミステリー、幻想小説、近年は時代小説を多数発表、オリジナル著書数は170冊を超える。
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