黒のコサージュ
身近に迫る死を個人病院のベッドで冷静に待つ相田。
相田は、その経営手腕で商売を広げ、一代で財を成した。
すでにほとんどの商売を整理していたが、半ば趣味でやっていた相田モータースにひとりの社員を残した。
その彼が最後に命じられたのは、「相田モータースで販売した名車の行方を追え」というものだった。
サーブ96V4、カルマン・ギア、マセラティ・ビトゥルポ、ファセル・ヴェガ・エクセレンス、ジャガー・マーク2……。
幻の名車の陰に、見え隠れするのはひとりの女。
死を目前にした相田の真の願いはなにか? 男はシトロエン2CVを疾走させる。
ハードボイルド長編小説。
●斎藤純(さいとう・じゅん)小説家。
1957年、盛岡市生まれ。
FM岩手在職中の1988年『テニス、そして殺人者のタンゴ』でデビュー。
1994年『ル・ジタン』で第47回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。
2005年『銀輪の覇者』(早川ミステリ文庫)が「このミステリーがすごい!」のベスト5に選出される。
岩手町立石神の丘美術館芸術監督、岩手県立図書館運営協議委員などをつとめている。
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