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百鬼譚の夜

そんな変哲のない光景が私を苛立たせるのだった。
赤い羽根を見るたびに動悸が激しくなり、頭に鋭い痛みが走る。
吐気さえ催す。
赤という色が怖いのではない。
白や黒の羽根も恐ろしくはない。
私が嫌悪するのは、なぜか赤い羽根に限られていた。
(「I 赤い羽根の記憶」より) 精神科医に註釈された日記、呪われた小説、出版されない詩集、怪奇俳句……。
ホラーを知り尽くした実力派‘怪奇作家’が放つ連作恐怖小説。
ゴーストハンターの活躍を軸に、迫真の恐怖が描かれる。
●倉阪鬼一郎(くらさか・きいちろう)1960年、三重県伊賀市生まれ。
早稲田大学第一文学部文芸専修卒。
同大学院文学研究科日本文学専攻博士課程前期中退。
在学中に幻想文学会に参加、1987年に短篇集『地底の鰐、天上の蛇』でデビュー。
印刷会社、校閲プロダクション勤務を経て、1998年より専業作家。
第3回世界バカミス☆アワード(2010年)、第4回攝津幸彦記念賞優秀賞(2018年)。
ホラー、ミステリー、幻想小説、近年は時代小説を多数発表、オリジナル著書数は200冊を超える。




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