イヴの鎖
私たちは生まれ方を間違ったの? どこでなら生きていけるの? 名門私立女子学院の高等部を卒業し、国立大に進学後、弁護士となった有吉馨。
彼女は、世間的には恵まれた境遇だと思われていたが、暗い過去と性の秘密を背負っていた。
担当した離婚調停が不調に終わろうとしていたある日、同じ事務所に勤めている高校時代の友人・匡子とトラブルを起こしたことから、馨の周囲の平静が少しずつ狂いはじめる……。
授けられた性とは異質な精神を持つものたち「トランスセクシュアル」。
この果てしなき迷宮からの解放とは? 性的マイノリティの懊悩を描いた長篇小説。
「電子版あとがき」を追加収録。
●榊原史保美(さかきばら・しほみ)東京都出身。
立教女学院を経て中央大学文学部哲学科卒。
1982年『小説JUNE』創刊号の最優秀投稿作に選ばれ、「螢ケ池」でデビュー。
1985年、初の単行本、『龍神沼綺譚』を上梓。
以降、民俗学、宗教学の素養を生かし、形而上学的テーマを昇華させた作品『鬼神の血脈』『荊の冠』等、多数発表。
美意識に貫かれた作風により、「耽美小説の草分け的存在」と称されることも多い。
1995年発表の『蛇神 ジュナ』より、ペンネームを「榊原姿保美」から現在のものに改めている。
趣味は、陶芸、写真、近代建築・ギャラリー巡り。
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