雪うさぎ
茶道家元羽生流の跡取り息子・羽生雪彦は類まれなる美少年だった。
彼はすでに大学受験の時、家庭教師と妖しい世界に耽溺するほどの少年ではあったが、感情的な執着を知らぬ孤独な魂の持ち主でもあった。
だが、夏の終わりの避暑地でのこと、少年・青矢(セイジ)との宿命的な邂逅から、彼をめぐる人々の歯車が微妙なきしみを見せ始めた……。
華やかな上流社会を舞台に、家元跡目相続の骨肉の争いに巻き込まれた雪彦の出生の秘密とは? 夏から冬を駆けぬけた少年たちのきらめく青春を抒情豊かに描写する長篇耽美小説。
●榊原史保美(さかきばら・しほみ)東京都出身。
立教女学院を経て中央大学文学部哲学科卒。
1982年『小説JUNE』創刊号の最優秀投稿作に選ばれ、「螢ケ池」でデビュー。
1985年、初の単行本、『龍神沼綺譚』を上梓。
以降、民俗学、宗教学の素養を生かし、形而上学的テーマを昇華させた作品『鬼神の血脈』『荊の冠』等、多数発表。
美意識に貫かれた作風により、「耽美小説の草分け的存在」と称されることも多い。
1995年発表の『蛇神 ジュナ』より、ペンネームを「榊原姿保美」から現在のものに改めている。
趣味は、陶芸、写真、近代建築・ギャラリー巡り。
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